サウンドトラックを君に...

   土曜日の夕刻である。
   駅のホーム。
  ホームに女を残して、電車の中から男が微笑み掛ける。女は応えて手を振る。
    女は笑っていただろうか?後ろの私から彼女の顔を見る事は出来なかった。
    普段は別段思う所の無い場景であるのだが、今日は何故だろう。微笑ましさと儚さが湧いて来て、じ~ん、とした。
    解答は得ている。私の耳元でスチュワート・マードックが囁く様に歌っていたからだ。彼の声をもって、映画の1シーンが完成した。
    映画ってリアリティを追求しがちなジャンルであるのに、何故にBGMというノンリアリティを混在させるのだろう。いや、舞台装置のみがリアルで、そのなかでノンリアルを繰り広げるのが映画だからいいのか。ま、どーでもいいや。
    ベルセバといえば、新譜がダンス寄り過ぎる事、女性の声が凡庸である事で私の評価を下げた。今日の事で評価が変わる事は無いが、"音楽が日常に彩を加える"というのは、どうやら本当らしい。